杉並区西荻 坂井医院

老医のつぶやき

 小生、現在杉並区西荻南に内科医として開業しております、昭和10年(1935年)新潟市生、日本大学医学部卒業し、国立第二病院でインターン終了後、母校に戻り、当時の第二内科学講座に入局、ご健在の大島名誉教授が主催されており多くの研究室をもたれ、得に現在の生活習慣病と密接に関係があります動脈硬化班、心臓班、内分泌班、腎臓病、高血圧班等先生の先見の明と言いますか多彩な研究心をお持ちでした。小生は高血圧班に属し、上野助教授はじめ優れた先輩のもとで約10年研究、診察、教育等に従事した後、昭和48年1月(1973年)当地に開業し現在にいたっています。内科一般と高血圧など今言われています生活習慣病を主体に診察を行っています、消化器科、呼吸器科その他、他科の疾患はそれぞれに応じ病院、診療所等にご紹介し検査、治療などを行ってもらっております。開業当初は皆様のホームドクターになるべく努力したつもりでしたが徐々に診療範囲が限定され上記ような形態になりました。往診は定期的に例えば寝たきり又は外出が困難な方等、急病等で緊急の往診を要する事態等相談、電話を戴ければ皆様のご要望に応じる所存でございます。

 生活習慣病について少し述べさせて戴きます。皆様すでにご存じで改めて小生が新しい知識をご提供出来るとは思いませんが生活習慣病の概念が少し変わりつつありますので、そのへんをかいつまんで。
 生活習慣病には、高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満等がありますが、なぜ問題にされるかの意味ですが、これらを持っている人々は動脈硬化になりやすい、あるいはその進展が早くなりやすいと言われています。これらを危険因子と言いまして、その他に高LDLコレステロール(悪玉)血症、高コレステロール血症、喫煙、遺伝的素因、年齢等がふくまれています。

 動脈硬化の危険因子としていろいろな概念が提唱されてきましたが最近になってメタボリックシンドローム(Metabolic Syndrom)と言う言葉で言い表されるようになりました。統一された定義がまだありませんが、だいたい次の様になっています。

1.臍上腹囲(男性85cm以上、女性90cm以上、この腹囲は内蔵肥満と相関関係があるとされています)
2.高中性脂肪血症(150mg/dl以上)
3.低HDLコレステロール血症(男性40mg/dl、女性45mg/dl以下)
4.高血圧(収縮期圧130mmHgかつ、または拡張期圧85mmHg以上、または高血圧加療中の人)
5.空腹時血糖110mg/dl以上

以上のうち3項目以上を満たす場合とされています。

 生活習慣病の治療の基本は生活習慣の是正、具体的には適度な運動と適正なカロリー摂取でして、それぞれにつきまして各学会でガイドラインが発表されていますので、皆様詳細は主治医にご相談をお推めします。
 生活習慣の是正は、私見ですが長くて3ヶ月位まででそれでも、目的の数値に到達しなければ、それらに加えて薬物の使用(薬物療法)になるでしょう。それぞれの病態に最近は薬の進歩も著しく、比較的に容易に目的の数値を得やすくなりました。副作用の問題もありますので、皆様主治医によくご相談なさり適切な薬を見いだしご使用されますようにお願い致します。これも私見ですが肥満にはいまのところ薬はないはずです。尚、最近マスメディアに盛んに登場するサプリメント或いは健康食品等は、バランス良い食事、適度な運動等を含む生活習慣を改善すれば、特に必要なものとは考えられませんのが、小生の意見です。
 いずれにしても先に述べましたいろんな危険因子を出来るだけ少なくすることが心臓、脳、腎臓等の動脈硬化性の変化の進展および事故の頻度の減少になるとの説が有力です。

 以上内科的あるいは生活習慣病を簡単に述べてみましたが、小生全くの門外漢の領域、精神科的な事項をかいつまんで述べてみたいとおもいます。的外れな記述があるかもしれませんが、お許しをお願いします。
 老齢化は喪失体験と並行するものではないかと思われます。体力、気力等、物忘れその他知的なもの、環境の変化、たとえば定年退職、転居等、家人の死亡等など老齢者にはなかなか適応するに非常に難しい事柄に遭遇することが多々あります。それにはどのように対応したらよろしいのでしょうか?今までに積み上げてきた知識、経験の応用、活用、趣味の拡大等いろいろな方法があるのではないでしょうか。それでもやはり知的、肉体的な衰退は避けることは殆ど不可能なのではないでしょうか?竹中は次のように述べています。精神的に若いためにはあらゆることに好奇心や、関心、興味を持ち続けることも大切だが、徹底的に自分中心的であることも必要と。それでは、肉体的にはなにが必要なのでしょう?全くの私見ですがある程度自然体でありながらも、上記の生活習慣病の改善ではないかと考えます。一例ですが、いわゆる認知症("老人性痴呆")のひとつに脳血管の動脈硬化症が原因とされるものが存在する説もあります。

(坂井守貞 記)

【参考文献】
日内誌:93号4巻、2004年
動脈硬化学会、糖尿病学会、循環器学会、心臓病学会、高血圧学会、肥満学会などのガイドライン
竹中星郎:高齢者の喪失体験と再生(青灯社、2005年)

上へ戻る